【健康】病原菌回避のために手を消毒すべきではない

手洗い 健康

こんにちは。吹雪です。

この記事を書いている現在、新コロナウイルスの影響で、石鹸や消毒液を使用した手洗いがとても推奨されています。

手洗いについては、知識として原則流水での水洗いで十分だということは知っているのですが、その根拠は正直あまり覚えていませんでした。(理由を一度読んで納得すると忘れる質です…)

そんな適当な感じで生活してたんですけど、つい最近、内容は食中毒についてですが、その根拠の一つと思われるものがちょうど夏井先生のブログで書かれていたので、備忘録として自分でも分かるような文章にして残しておこうと思います。

え?自分の知ってる常識と違う、どういうこと?と思われた方は是非、夏井睦先生のサイト「新しい創傷治療」や夏井睦先生の著書「傷はぜったい消毒するな~生態系としての皮膚の科学~」や「患者よ、医者から逃げろ その手術、本当に必要ですか?」を読んでみてほしいです。

傷はぜったい消毒するな~生態系としての皮膚の科学~ 患者よ、医者から逃げろ その手術、本当に必要ですか?

※私自身は特に医療に詳しいわけでもないド素人です。

手を消毒すると病原菌が手に住み着きやすくなる

手をアルコールなどで消毒すると、手の表面に付いていた細菌やウイルスをいわゆる殺菌することができますが、同時に手の表面にあった皮脂も失われてしまいます。

すると、皮脂を失った手の表面は、空気中などの細菌やウイルスにとって居心地の良い環境になってしまい、結果的により空気中の細菌やウイルスが住み着きやすい手になってしまうのです。

元になった夏井睦先生のコメント

以下、私が備忘録にしようと思ったコメントです。長いです。

 まず,表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌は基本的に人間に対する病原性は持っていません。また,皮膚常在菌は基本的に通性嫌気性菌で酸素が苦手です。そのため,角質層内や毛孔などの酸素に乏しい環境を住処にし,角質表面の皮脂層は角質内や毛孔深部への酸素の侵入を防いで低酸素状態に保つ,という重要な役割を持っています。
 また,皮脂腺から分泌される皮脂をエネルギー源として利用できる生物は毛孔を生息環境とするアクネ菌のみであり,アクネ菌の皮脂の代謝産物は他の皮膚常在菌のエネルギー源となり,彼らは多種多様な脂肪酸を分泌するため皮膚表面は弱酸性になります。多くの病原菌は酸性環境を嫌うため,皮膚に定着できません。
 つまり,[皮脂-アクネ菌-他の皮膚常在菌-代謝産物である脂肪酸]はユニットとして,病原菌の侵入を防ぐ皮膚防衛隊として機能しています。
 したがって,皮膚常在菌に関して言えばもともと皮膚表面に存在する細菌ではないし(皮膚表面は好気性状態なので通性嫌気性菌の生息条件ではない),病原性も持っていないため,手の皮膚の常在菌叢が正常であれば,「手を洗う/洗わない」は食中毒予防とは無関係,となります。

 常在菌でない細菌を通過菌と呼びますが,大半は人間に無害で,一部のものが病原性を持ちます。黄色ブドウ球菌(傷を化膿させたり,食中毒を起こす)はそういう病原性通過菌の一つです(ちなみに,黄色ブドウ球菌は複数株に分かれていて,食中毒を起こす株が創感染を起こすことはない)。
 黄色ブドウ球菌は好気性菌であり,皮膚表面(=酸素が豊富にある好気性環境)に生息できるため,湿り気のある皮膚(例:頭皮,腋窩など)から常に検出されます。そして,手荒れを起こした皮膚もこの黄色ブドウ球菌の生息条件,すなわち「好気性環境であり,湿り気がある(皮膚の微細な傷から浸出液が分泌されている)」という条件に合致します。このため,「傷がある皮膚」からは必ず,黄色ブドウ球菌が検出されます。「手指に傷があったら料理は作ってはいけない」のが料理人の常識なのはこのため。
 つまり,「食中毒を恐れて手を頻回に消毒すると,皮脂が奪われて傷ができるため,結果的に手は黄色ブドウ球菌に最適な環境になる」となります。

 要するに,「手を消毒すれば細菌がいなくなる」というのは人間側の一方的で勝手な思い込みに過ぎません。人間側の思惑と異なり,「皮膚の消毒で細菌は一時的に減らせるが,結果的に黄色ブドウ球菌に最適な環境を作ってしまい,食中毒などのリスクを高める」というのが生物学的な正解です。

http://www.wound-treatment.jp/new.htm#0516-222より

私の考えでは,ウイルスは「生体細胞内では生物」,「細胞外(自然環境下)では物質」です。アルコールは両極性物質で親水性(=ヒドロキシ基)と疎水性(=アルキル基)を持ちますが,疎水性を持つためウイルスのエンベロープ(=脂質二重膜)を脱脂作用で破壊します。その結果,ウイルス粒子そのものも構造を維持できなくなり,感染性を失います。
 「ウイルスを殺す」のではなく,「物質であるウイルスを破壊する」のがアルコールの作用です。
 そして,アルコールは疎水基を持つため,手の皮膚を脱脂して皮脂層を破壊し,激しい手荒れを起こします。

http://www.wound-treatment.jp/new_2020-05.htm#0515-3より

といった内容を覚えておこうと思ったのですが、何回読んでもこの文章のまま読もうとすると頭を抱えるので、多少大雑把でも自分が理解できる内容にレベルを下げようと思い、何とか書いたものが以下になります。

私なりの精一杯の意訳

意訳というほど簡潔に書けていないのがとても残念ですが、現時点での精一杯をどうぞ↓

皮膚にも常在菌がいる

まず大前提として、腸内と同様に皮膚にも常在菌がいます。

代表的なのは「表皮ブドウ球菌」などで、これらは人間には害を及ぼしません。
皮膚常在菌は酸素が苦手なので、角質層や毛穴などの酸素が届きにくい低酸素な場所を住処にしています。

この角質層内や毛穴の奥が低酸素になっているのは、角質層表面の皮脂層がそれ以上奥に酸素が行かないようにしているからです。

また、同じく皮膚常在菌である「アクネ菌」は、人間が出す皮脂を食べて、他の皮膚常在菌の餌になるものを生み出します。

その餌の内容は、多種多様な有機酸で、これらが生み出されることにより皮膚表面が弱酸性の状態になります。
「弱酸性」、某有名なブランドがよく言ってるのはこれですね。(あのブランドが肌に良いとは言ってません)

皮膚表面が弱酸性の状態であれば、酸性の環境を嫌う多くの病原菌が皮膚に定着できないということになります。

つまり人間は、皮脂そのものと、それによって生み出される低酸素な環境を皮膚常在菌に提供することで、人間に害をなす病原菌を退ける環境を皮膚常在菌に作ってもらっているということになります。

アルコールなどの消毒薬は皮脂層を破壊する

繰り返しになりますが、皮膚常在菌は通性嫌気性菌といって、酸素が苦手な菌です。

なので、皮膚表面ではなく角質層内や毛穴などの低酸素状態なところを住処にしています。

そして、その低酸素状態を作り出しているのは、角質表面の皮脂層です。

つまり皮脂層は、皮膚が健康な状態を維持するためには必要不可欠なものなのですが、アルコールなどの消毒薬をつけると、そのつけたものが持つ脱脂作用で、この大切な皮脂層が破壊されてしまうのです。

皮脂層が破壊されると、皮膚の健康状態が損なわれて、所謂手荒れが起こります。

手荒れというのは、皮膚に小さな傷ができている状態です。

小さな傷が出来ているという状態は、その傷から浸出液という液体(怪我をするとジクジクした感じと共に出てくるアレ)が出ている状態で、このときの皮膚表面の状態は、常在菌ではない菌(通過菌)が好むものになります。

つまり、アルコールなどで手を消毒すると、手に傷ができて、食中毒などを引き起こす病原菌にとって最適な環境になるということです。

人体に有害な菌を遠ざけたくて消毒するのに、これでは本末転倒ですよね…。

ワセリンで皮膚表面の油分を補完する

では、この記事を書いている現在、新コロナ対策としてお店には必ずあると言っていいアルコール消毒に対してどう対処すればよいのか。

これはあくまで私個人の対処法ですが、ワセリンを活用しています。
外出前に手にワセリンを塗り込み、外では常にワセリンを持ち歩き、アルコール消毒や手洗いをした後に必ず手にワセリンを塗り込むようにしています。

そうすることで、アルコールは皮脂層を破壊する前にワセリンを脱脂するので、皮膚の環境が破壊されるのを防ぐことができると考えています。

ちなみに持ち歩いているのは、健栄製薬株式会社の「ベビーワセリンリップ」です。
鞄などが汚れる心配がないので重宝しています。

ベビーワセリンリップ

物理的にアルコールから肌を守るのであれば巷で売られているハンドクリームでも良いのではないかと思われる方もいると思いますが、クリーム系は基本的に界面活性作用があり、そもそもそれ自体に脱脂作用があるので、意味がないどころかダメージが増大しますので、止めたほうが良いと思います。

どういうことか気になる方は、是非下記のページを覗いてみてください。

ハンドクリームで油性の汚れを落とす実験(とその他)↓
脂溶性物質と界面活性剤

化粧品などで油性の汚れを落とす実験↓
実験:合成界面活性剤

終わりに

猛省です。

10年以上、肌関係の情報は適当にインプットだけしてきたのですが、それでも自分ではある程度理解できていると思っていました。

全然でしたね。

ただの知ったかぶりということを今回思い知りました…。
恥ずかしい。穴があったら入りたい。

でも、こういうことを専門外の自分がきちんと理解しようと思うと、高校時代の生物や化学とかから勉強し直さないといけない。
それはちょっとキツイなあ…と、ちょっと困っています。

自分で自分の首を絞めるのはやめよう、と最近思ったばかりなので、これから本を参考にちょくちょくブログに意訳を残していくぐらいでやっていこうと思います。

まずは、その本を物置部屋状態の自分の部屋の中から発掘するところから!←

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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